ATM事業がじり貧の様相を呈する中で、セブン&アイグループとして今後どう金融事業を拡大していくのか。特集『コンビニ金融最前線』(全8回)の#4では、セブン銀行と電子マネーなどを所管する金融持ち株会社のセブン・フィナンシャルサービスの両社長に、中長期の成長戦略について聞いた。(ダイヤモンド編集部 中村正毅)
コロナ禍で急速にしぼむ
コンビニ消費と現金需要
――ATMの利用件数で前年割れが続いています。年明け以降の状況はどうなのでしょうか。
舟竹泰昭・セブン銀行社長:緊急事態宣言が発令されたことで、1、2月はやはり状況は良くありませんね。昨年11月、12月(の減少率)よりもさらに1%ポイントから2%ポイント下がっているような状況です。
――2020年度の通期で見た場合に、総利用件数は対前年度比でマイナスになる見通しですか。
舟竹氏:(対前年度比で)マイナス5%くらいの着地になるのではないかと見込んでいます。
――コロナ禍をきっかけにした「新常態」で、ATMを取り巻く環境も変わるのでしょうか。
舟竹氏:キャッシュレス化が進んでいることは事実です。ただ、デジタルマネーと従来の紙幣を交換するという役割を、われわれのATMでの現金チャージなどによってかなり担っているという側面があります。
一方で、地域金融機関の皆さんは店舗やATMの統廃合など、大きな事業のリストラをされようとしていますよね。われわれがまず提案するのはセブン銀行のATMへの置き換えです。また傘下にはマネーロンダリング対策などの金融事務を受託するバンク・ビジネスファクトリーや、本人確認の認証システムを手掛けるアクシオンという会社があり、地域金融機関の皆さんが一番面倒だなと思うところをわれわれに委託してもらえるよう精力的に提案しています。
キャッシュレスをはじめ、デジタル化はやや逆風ではありますが、その中でまた新しいニーズも出てきています。それをしっかりと取り込んでいく方針です。