コンビニ金融#5Photo:kyodonews

セブンやイオンから「周回遅れ」で銀行業に新規参入したローソン銀行。金融機能の強化による収益の上積みを狙ったものの、その成果はまだ見えない。特集『コンビニ金融最前線』(全8回)の#5では、親会社のローソンや三菱商事による側面支援が弱く、閉塞感が漂い始めたローソン銀の実情を探った。(ダイヤモンド編集部 中村正毅)

コンビニ再編が後押しした
ローソンの銀行業参入

「ATMを中心とした金融サービスには、地方を中心に強いニーズがある」――。

 2016年、当時ローソンの会長を務めていた玉塚元一氏は、銀行業参入の理由について報道陣にそう語っていた。

 玉塚氏がローソンに入ったのは10年。14年には三菱商事出身の新浪剛史氏から経営のバトンを引き継ぐ中で、痛感していたのは最大手セブン-イレブン・ジャパンとの埋め難い収益力の差だった。

 さらに当時は、競合のファミリーマートがサークルKサンクスを吸収。規模を一気に拡大したこともあり、ローソンとして収益拡大に向けた次の一手を迫られていた。

 そこで目を付けたのが、ローソンの子会社でATM事業を担っていたローソン・エイティエム・ネットワークス(LANs)だった。