日産が7月27日に公開した電気自動車(EV)専用プラットフォームを用いた車両 Photo (c) AP Images |
あの時、筆者にとって初めて、「神奈川県=日産」という地域イメージが芽生えた。
かれこれ20数年前、横浜での話である。
「君の気持ちは分からないでもないが…。実は神奈川には、スポンサーになれそうな大企業がいない。唯一あるのが、日産だ。でも、日産はF1に興味がないから結局、横浜F1グンプリは流れた。だからいまでも、神奈川県内でレース資金集めは事実上無理だ」。
日本青年会議所・神奈川地域の主要メンバーが、東京生まれ横浜育ちの筆者の熱き思いをなだめるように、そう言った。当時、筆者は米インディカー参戦のためにスポンサー集めをしていて、日本青年会議所の関係者に会った。この「横浜F1グランプリ」とは、1980年代に日本青年会議所が、MM(みなとみらい)21地区で開催を目論んだ、世界フォーミュラワン選手権のことである。
日産の本社は現在東京都中央区銀座6-17-1にあるが、登記上の本店所在地は実は長きに渡り神奈川県横浜市神奈川区宝町2にある。そこはJR新子安駅から東京湾側に向かった工業地帯で、日産(日本産業)創業の地である(2009年中には「みなとみらい地区」に登記ともども本社を移す予定)。現在は日産・横浜工場としてエンジンの加工・組み立てを行っている。また日産は横須賀に追浜工場、厚木にテクニカルセンター(デザインや開発の部門)など、神奈川県内各地域に事業所を置いている。
その神奈川県が今、「神奈川県=EV(電気自動車)」のイメージを強く打ち出している。むろん、その背後には、2010年から市販される日産EVの存在がある。