ライフプランシミュレーションを絶対に過信してはいけない理由Photo:PIXTA

「ライフプランを考えること」と
「ライフプランシミュレーションをすること」は違う

 多くの企業において、社員の年齢が中高年に差し掛かってくると福利厚生策の一環として「ライフプランセミナー」が実施されることが多くなる。筆者も時折、そうした企業研修の一環としてのライフプランセミナーに講師として呼ばれることもあるが、別にこんなセミナーを会社にやってもらわなくても自分で将来のライフプランは考えるべきだろう。

 ところが、そうした講師やFPなどが、ライフプランを考えようと提案してくるものの大半は「ライフプランシミュレーション」もっと具体的に言えば、お金の収支を予測する「キャッシュフローシミュレーション」である。

 これは別に悪いことではない。自分のライフプランを考える上での参考データとして、こうした資金収支のシミュレーションをおこなうことは役に立つと言って良いだろう。

 だが多くの場合、これを作ることが目的化され、さらに悪いことに、そうやって作られたシミュレーションを絶対視してしまう傾向がある。筆者は、これはおおいに問題だと思っている。言い換えれば「ライフプランを考えること」と「ライフプランシミュレーションをする」ことは別なのだ。