犬猫から人への「共通感染症」、予防のために絶対に知っておくべきこと
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昨年来、自宅で過ごす人が増加したことにより、ペットブームの勢いが止まらない。今年2月に発表された調査によると、国内における2020年のペット関連市場の規模は前年度に比べ3.4%増え、推計1兆6242億円に上るという。ブームに伴い、今後、心配されているのが、ペットから人にうつる病気だ。人と動物の共通感染症(以下、共通感染症)の専門家である獣医師の兼島孝氏に、ペットを感染源とする病気の中でも特に注意が必要なものと、予防の心構えを教えてもらった。(清談社 山田剛志)

「猫ひっかき病」は
がんと間違われる可能性も

 動物と人との間でうつる病気のことを共通感染症といい、は英語で「zoonosis(ズーノシス)」と表記される。2000年代初頭に発生したBSE(牛海綿状脳症)、今年2月に鳥から人への感染が初確認された「高病原性鳥インフルエンザ(H5N8)」をはじめ、たびたび世間を震撼させてきた。

 現在世界では約800種類の共通感染症が確認されており、新型コロナウイルスも犬や猫への感染例が世界中で報告されている。中でも日本国内で心配されるのはおよそ40種類。兼島氏によると、近年は家畜や野生動物のみならず、ペットを感染源とする病気の被害も増えているという。

「国内で報告されている共通感染症において最も被害件数が多いのは、猫にひっかかれたり、咬まれることで感染する『猫ひっかき病』です。猫の口腔粘膜やノミに宿ったバルトネラ菌が傷口から体内に侵入し、人が感染すると咬傷部位の近くにあるリンパ節がピンポン玉くらいに腫れ上がります。罹患(りかん)した猫からノミを介して犬にうつることもあります」(兼島氏、以下同)

「猫ひっかき病」はペット側には症状が一切なく、人が感染して症状が出るまでに1カ月ほどかかる。そのため、飼い主はペットから病気をうつされたと気づきにくく、外科医も初見では病因を特定するのが困難だという。