部品調達の課題解決に
テクノロジーで挑む「meviy」

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 ミスミはものづくりにおける部品調達の課題に対し、部品の標準化と規格品のカタログ販売で応えてきた。1977年から発行するカタログを使えば、顧客は精密機械部品の調達が「選ぶだけ」で完了する。また標準化によって「半製品」をそろえることで、大ロット生産による低コスト化と、小ロットの部品の確実で短い納期を同時に実現した。顧客企業の製品を構成する部品表のうち、規格品は約半数の52%に上る。

 一方で、部品表のうちの残る48%は、独自に設計が必要な図面品のままだ。購買プロセスをどう短縮しようとしても、見積もり・納品の工程で約3週間がかかる図面品。手配から商品確保までに、規格品との間で時間のギャップが発生する。結果として顧客は、入手が遅い、図面品の到着に合わせて待つことになってしまう。

「複雑な部品は標準化が難しい。仮に標準化できたとしても、今度は標準化された部品が膨大な数になって、顧客はその中から選ぶということができなくなってしまう。そこで、部品表の半数を占める図面品を、標準化という手法をとらずにいかに短納期で納品できるか、研究開発を繰り返した結果、誕生したのがmeviyだ」(吉田氏)

3Dデータ顧客が設計データをmeviyにアップロードするだけで、AIが部品の価格と納期を数秒で回答してくれる 画像提供:ミスミ
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 冒頭でも述べたが、meviyの特徴は「AIによる自動見積もり」と「デジタルものづくり」により、即時見積もりと超短納期を実現していることだ。顧客が部品の設計データをmeviyにアップロードすると、AIがその形状を認識し、数秒で価格と納期を回答。見積もりに納得して発注すると、アップロードデータから生成された製造プログラムがマシニングセンター(工具を自動で交換する機能を持つ切削・穴開けなどの加工機械)へ送信される。

 従来はマシニングセンターで作りたい部品を加工するには、設計データに基づき人がプログラミングを行う必要があったが、meviyでは製造プログラムを自動生成するため、人手や時間を省くことができる。このフローにより、最短で即日出荷を可能としている。

 meviy登場により、製造業界には具体的にどのような“革新”がもたらされたのか。また、ミスミはこの新規事業meviy立ち上げをどうやって実現したのか。後編では、ミスミと製造業界が進めようとしているDXについて、より詳しく紹介したい。