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「DXレポート2」で明らかになった日本企業のDX推進の実態とは? Photo:PIXTA

経済産業省が、日本企業のレガシーシステムが抱える課題に「2025年の崖」というキーワードで警鐘を鳴らした「DXレポート」の公表から2年半。日本企業のDXはその後、どの程度進んだのか。2020年末に公開された「DXレポート2(中間取りまとめ)」でも指摘された日本企業のDX推進の実態について、経済産業省 商務情報政策局 情報技術利用促進課 課長の田辺雄史氏に話を聞いた。(編集・ライター ムコハタワカコ)

日本企業の9割以上が
「DX未着手」か「散発的な実施のみ」の現状

 米国のGAFAをはじめ、デジタルテクノロジーを活用してこれまでにないビジネスを展開する企業が、世界中のさまざまな産業で登場している。こうした環境下で、日本企業にも競争力維持・強化のために、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が求められている。

 経済産業省は2018年、企業がDXを実現していく上でのITシステムに関する課題の整理と対応策の検討を行い、同年9月に報告書『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』を公表した。

 DXレポートでは、老朽化・複雑化・ブラックボックス化した既存システムが、DX推進の障壁となると指摘。さらに、既存システムを放置した場合の将来的な維持・保守コスト高騰(技術的負債の増大)や、維持・保守できる人材の枯渇によるセキュリティ上のリスクの増大も課題として挙げた。「レガシーシステムの抱える問題解消のためには、2025年までにシステム刷新を集中的に推進する必要がある」として掲げた「2025年の崖」という言葉は、多くの事業者の注目を集めた。

 経産省ではDXレポート公表後も、「DX推進ガイドライン」の策定、「DX推進指標」による企業の自己診断の促進や、経営者に求められる対応「デジタルガバナンス・コード」の提示、「DX認定」の制度化や「DX銘柄」選定など、企業におけるDX推進を支援する施策を次々と展開している。こうした政府の後押しもあって、デジタル変革に対する危機感を持つ企業は増え、DX推進への機運は高まったかに見える。

 ところが実際には、DXレポート公表から2年半が経過した現在、DX推進に取り組んでいる企業は一握りに過ぎないことが分かった。情報処理推進機構(IPA)がDX推進指標の自己診断結果を収集し、2020年10月時点で企業約500社のDXへの取り組み状況を分析した結果、全体の9割以上の企業がDXに「まったく取り組めていない」か「散発的な実施にとどまっている」状況にあることが明らかになったのだ。

 さらに新型コロナウイルスの世界的な流行により、企業を取り巻く事業環境は急激に変化した。新しい環境に合わせた変革は、今まで以上に“待ったなし”の状況となっている。

 これらの状況を踏まえ、経産省では2020年に改めて「デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会」とワーキンググループを立ち上げ、12月に研究会での議論に基づいた中間報告書『DXレポート2(中間取りまとめ)』を公表した。DXレポート2では、コロナ禍で浮き彫りになったDXの本質と、企業・政府の取るべきアクションが示されている。

 本稿ではDXレポート2が示す日本企業の現状について、同レポートの取りまとめを担当した経済産業省 商務情報政策局 情報技術利用促進課の課長・田辺雄史氏に聞いた。