それに加えて用意されているのが、「自主研鑽支援制度」だ。業務に関連する資格取得や研修を希望した場合は、上司が積極的に後押しする上、資金面でも大きなバックアップが受けられる。
会社が認める国家・公的資格に合格した場合は、受験料や登録料の全額を会社が補助してくれたり、社員自らが見つけてきた外部教育研修であっても、その期間の研修受講料や通信教育の受講料の半額を補助してもらえたりする制度になっている。特に新卒から5年目までは、受講料の75%まで補助してくれるという。
つまり、自ら業務に関連することを学びたいと思えば、いくらでも会社が補助してくれる制度なのだ。こうした制度からも、社員の自主性を重んじてそれを支援する社風がうかがえる。
公募人事制度でキャリアチェンジ
上司に申し出ずに応募が可能
旭化成は多岐にわたる事業を展開しており、事業本部制度が導入されていることから、専門的な業務に就いていると、なかなか異動がかなわないと考える人もいるだろう。そこで同社で行われているのが、社員自らが募集のある部署へ応募し、異動できる「公募人事制度」だ。2003年に開始された制度で、事業会社や部署、職種を超えた挑戦ができ、自らの目指すキャリアアップにもつなげることができる。
他の企業などでよくあるこうした公募制度では、所属している上長に申し出る必要があるため、言い出しづらかったり、なかなか希望が通らなかったりして諦めるケースもあると聞く。しかし同社では、上長に申し出る必要はなく、応募できる仕組みになっているという。
「年間40~50人の社員がこの制度を利用して、異動を実現させている」(大場室長)
今回取り上げた三つのポイントからも分かるように、旭化成では「やる気がある」「こういうことがしたい」という主体性や自主性のある人にとっては、働きやすい環境が整えられている。大場室長も「さまざまな制度が用意されているが、いずれも社員の自主性や主体性を支援するために作られたもの。言われたことだけをやる人、受け身の人は、あまり当社向きではないだろう」と語る。
若手の頃から活躍できる環境で成長したいという新入社員は増えているが、外資系企業やスタートアップ企業だけでなく、こうした歴史があっても若手にチャンスがある会社に目を向けてみてはいかがだろうか。