医学界、医療行政、分科会の「縦割り」問題

 どうして国民にひたすら行動自粛を求め続けるしかなくなっているのか。

 それは、医学界、医療行政の「縦割り」によって、新型コロナ対策は感染症の専門家だけの狭い範囲内で議論されるだけにとどまってきたからだ。

 まず、医学界の「縦割り」がある(第262回・p3)。感染症関連科は、医学界の中で、政治力がない。日本人の死因の上位を占めるがん・脳卒中・心筋梗塞・糖尿病など「七大生活習慣病」の関連科が強い政治力を持っているからだ。その結果、感染症関連科に人材、設備、資金などリソースが集まってこなかった。

 次に、医療行政の「縦割り」の問題がある(第265回)。厚労省で新型コロナ対策に取り組むのは、厚労省健康局結核感染症課と、厚生科学審議会感染症部会だが、他の疾病を管轄する部署は関わっていない(第242回・p3)。

 政府の新型コロナ対策に関わる「分科会」も「縦割り」だ。分科会構成員20人中、医者・医学者は9人だが、そのうち6人が感染症の専門家で、病床の調整に関わるはずの「七大生活習慣病」の専門家はいない(第265回)。

 その結果、「分科会」では議論の中心は感染拡大の状況分析と対応が中心であり、医療体制の問題はほとんど議論されてこなかった(参照:内閣官房HP)。