農協の経営悪化が止まらない。ダイヤモンド編集部の独自試算で、調査対象である504JAの2割に当たる96JAが、2022年度以降に赤字になることが分かった。

 かねて懸念されていたマイナス金利政策による信用事業(銀行業務)の大幅減益(農協の貯金を運用する農林中央金庫からの利益の分配の削減)が始まったのだ。

 それに加えて、保険契約者の高齢化や死亡による保有契約高の減少により、共済事業も急速に収益が悪化している。

 農協の経営が傾けば、組合員は出資金が戻ってこなかったり、追加の増資を迫られたりといった実害を被ることになる。何より、農協の地盤沈下がもたらす地域経済への悪影響は計り知れない。

ワースト1位は17億円減益のJA香川県
2・3位はJA横浜、JA山口県

 下表は、ダイヤモンド編集部の独自試算の結果、金融事業の減益想定額が大きかった農協を順に並べたものである(試算方法の詳細はこちら)。

全国504農協の2割が赤字転落!金融依存と米価暴落が「JA大淘汰」を招く

 1JA当たりの金融事業(信用・共済事業)の減益想定額が最も大きかったワースト1位はJA香川県だった。その減益額は年間17億6500万円に上る。

 ワースト2位は神奈川県のJA横浜で16億0100万円、ワースト3位のJA山口県は15億円2000万円の減益が見込まれる。

 JAが経営基盤の弱体化を防ぐには、金融以外の本業、つまり農業関連事業で稼がなければならないのだが、JA横浜など都市部の農協や有力農家から見放された農協には厳しい未来が待ち受けている。

 手っ取り早く稼げる金融事業に人材を集中させ、本業である農業関連事業をおざなりにしてきた農協は、重いツケを払うことになるのだ。