儲かる農業 攻める企業#15
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かつての農業界では、農家のヒエラルキーの上位に立つには経験年数や農協(JA)との親密度が必要だった。だが、時代は変わった。トヨタ仕込みのモーレツ営業で成功した非農家出身者と、早くから6次産業化(農業従事者が食品加工や流通販売まで展開すること)を目指し“仲間内”農家を組織化したカリスマ経営者。対照的な2人の有力農家に稼ぐ秘訣を教えてもらった。特集『儲かる農業 攻める企業』(全17回)の#15では、個性派農家の経営ノウハウをお届けしよう。(ダイヤモンド編集部 浅島亮子、新井美江子)

トヨタ仕込みの顧客開拓
「モーレツ営業」を農業界に持ち込んだ

 学生時代は京都選抜の有名サッカー選手、社会人時代はトヨタ自動車系ディーラーのトップ営業マン。九条ねぎ・青ねぎを栽培する京都知七(ともひち)代表の重義幸さんは、常にその道を究めてきた人だ。

 とりわけ、トヨタのディーラーに勤めていた頃の営業力は群を抜いていた。車の売れない時代に、年間100台を売り上げるNo.1営業マン。24カ月連続で店舗の販売記録を更新し続け、幾度もメーカーから表彰されたほどだったという。

 成功のこつは、アナログである。車を買ってくれた顧客に友人を紹介してもらって営業し、またその友人を紹介してもらって営業し……の繰り返し。要するに、自動車ユーザーの人脈ネットワークに入り込み、モーレツ営業を仕掛けたというわけだ。

 そんな重さんが農業界へ転身したのは30歳のときのことだ。トップディーラーに上り詰めた次の目標は「農業界の日本代表になる」(重さん)という壮大なものだった。

 実際に、夢は着実に近づいている。ダイヤモンド編集部が「担い手農家アンケート」で選出した「中小キラリ農家ベスト20」の12位にランクインしている(「中小キラリ農家ベスト20」の詳細は特集#10『すごい中小農家ランキング!1位は非農家出身32歳、京都府の若手ホープ』を参照)。経営面積当たりの売上高や収益性が高いことが上位入りの理由だ。

 それでは、重さんの高収益経営の秘密はどこにあるのだろうか。