――外反母趾などに悩むミセス向けコンフォートシューズ(履き心地や足の健康を重視した靴)を手がけているそうですね。
後藤 「華の風」「TIERRARICA(ティエラリカ)」の二つのブランドを立ち上げ、企画から製造、小売りまで一貫して行っています。いわゆるSPA(製造小売業)ですね。
2014年に個人事業でスタートしたのですが、着実に成長でき、翌15年に法人化。百貨店などで実店舗を構えています。その他、百貨店の期間限定ポップアップストアに出店し、商社のファミリーセールでも販売。生協をはじめとするカタログ通販にも製品を卸しています。
コロナ禍でも売り上げが伸び、20年度は前年同期比34%増を達成しました。
――開業からわずか6年で急成長していますね。お客さまに支持される理由は?
後藤 ファッション性と機能性を両立したことだと思います。
従来のコンフォートシューズは履きやすいものの、おしゃれなデザインが少なく、カラーも黒と茶が中心でした。それに対し、弊社は、欧州のトレンドを研究してデザインしていて、アイテム数も40〜50に上ります。カラー展開も豊富で、多いものでは10色をそろえています。
――それだけ種類があると、好みに合ったデザインの靴が見つかりそうですね。
後藤 もちろんコンフォートシューズですから、履きやすさも追求しています。外反母趾でなくても、日本人女性は足が幅広甲高で、欧米の靴がフィットしにくい。そこで5000人の女性会員の足を調べ、日本人女性に合った靴を作りました。
――具体的にはどんな特徴が?
後藤 まず木型は、他社のコンフォートシューズにもよく用いられている「オブリック木型」をベースに、外反母趾で親指部分が肥大した人でも履きやすいように改良しました。
さらに、カジュアルシューズの製靴技術である「ステッチダウン製法」を採用。通常、靴は革とソールを内側から縫い合わせるのですが、ステッチダウン製法は外から縫い合わせるので、靴の内部に余裕ができるのです。職人が手作りすることで、足を包み込む優しい履き心地を実現しました。熟練の技術が必要なので、日本有数の靴産地である神戸・長田の職人さんにお願いしています。
牛革も、なめし工程や染め方にこだわった日本革を使用しているので、履いているうちにどんどん足になじんできます。中板と呼ばれる靴の重要パーツを省くことに成功し、軽量化も実現しました。