イスラエル人の医療従事者
パレスチナ人労働者にワクチン接種するイスラエル人の医療従事者 Photo:Amir Levy/gettyimages

新型コロナウイルス対策で「ワクチン接種優等生」と言われるイスラエルでは、人口の大多数が1度目の接種を終え、徐々に元の生活が戻りつつある。そんな中、ワクチンによる「地殻変動」が見えないところで起きている現実もある。今回はイスラエルを例に、ワクチンをめぐる国内・外交政策、そして台頭しつつある「格差」と「ワクチンナショナリズム」についてレポートする。(イスラエル国立ヘブライ大学大学院・総合商社休職中社員 徳永勇樹)

イスラエルのコロナ対策
国全体が「総力戦」で対応

 イスラエルのコロナ対策は、日本でも報道がなされているが、国全体が「総力戦」で対応している。国内の多くのホテルが感染者隔離用のホテルに変えられ、イスラエル軍も全面的に出動をしている。

 ワクチンの入手方法も徹底していた。特務機関モサドが、初期の段階で世界のワクチンをかき集めたという報道もなされた。さらに、ネタニヤフ首相はワクチン製造会社ファイザー社のユダヤ人社長と計17回の会議を行い、世界最速でワクチン供給を可能にした実績をアピールしている(もっとも、イスラエル側も、接種者のデータをファイザー社に提供するという交換条件なので、個人的な人間関係だけでワクチン供給が決まったわけではない)。

 こうした動きは、現地時間の3月23日に実施されたイスラエルの総選挙に大きな影響を与えた。事前報道の段階でも、汚職問題等で再選の危機にひんしていた現ネタニヤフ政権にとっても大きな助け舟になったという見方が強い。

イスラエルの投票所では、各党を意味するヘブライ文字がが書かれた紙を投票箱に入れる
イスラエルの投票所では、各党を意味するヘブライ文字がが書かれた紙を投票箱に入れる Photo by Yuki Tokunaga