中小企業の売買を仲介するM&A市場が活況だ。2025年には中小企業経営者の3人に2人が70歳を超え、約60万社が黒字倒産の危機にあるとされる。人の手による旧来型のM&Aマッチングでは到底間に合わない。そこで人工知能(AI)やデジタル化を駆使した、新たな仲介サービスに注目が集まっている。特集『暗闘 企業買収の新常識』(全8回)の#5は、2018年に創業したM&A総合研究所の秘密に迫る。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)
企業売買の仲介業界に「価格破壊者」現る!
若き経営者が率いるM&A総合研究所の実力
3月中旬、JR東京駅に近い丸の内トラストタワーN館内にあるオフィスの前に、証券会社の営業マンが列を成して並んでいた。
2018年に創業したM&A総合研究所。中小企業のM&A仲介ビジネスに新規参入し、大阪、名古屋と次々にオフィスを開設。飛ぶ鳥を落とす勢いで事業を拡大中で、22年の上場も視野に入る。証券会社は、そんな“金のなる木”を見逃さない。
ダイヤモンド編集部の取材に応じたのは、同社を創業した佐上峻作社長。今年30歳になったばかりのごく普通の青年だ。
金融や士業、営業出身が多いM&A業界にあって、佐上氏は創業前にいずれの経験もない。そんな新顔が、業界の地殻変動ともなりかねない改革を起こそうとしている。