緑内障では視野が欠損するが、気が付かない人も多い 緑内障では視野が欠損するが、気が付かない人も多い(写真はイメージです) Photo:PIXTA

緑内障は眼圧が上がることで視神経に異常をきたし、視力低下や視野狭窄、最悪の場合失明に至る病気だ。目の中の水晶体(カメラのレンズにあたる部分)が白く濁って見えづらくなる「白内障」と共に、名前だけは知っているという人は多いが、実際にどのような病気なのかを知る人は意外と少ないのではないだろうか。緑内障は白内障と違って、治療を受けても失われた視力や視野を取り戻すことはできない。そのため早期発見と治療が非常に重要だが、困ったことに初期のうちに気付く人はほとんどいない。なぜ気付けないのか、早く気付くにはどうしたらいいのかなど、井上眼科病院(東京都)の院長で緑内障に詳しい井上賢治医師に話を聞いた。(医療ジャーナリスト 木原洋美)

眼圧検査だけではダメ
約7割は「正常眼圧」で緑内障を発症

――緑内障とは、どのような病気ですか。

 眼圧(目の硬さ・目の中の圧力)が上がることで視神経に異常をきたす病気です。視野が徐々に欠けて見えない範囲が広がっていき、放置すれば、最悪失明に至ります。日本人の中途失明原因として最も多いのは緑内障です。

 日本緑内障学会が2000~2001年に岐阜県多治見市で行った疫学調査(多治見スタディ)によると、40歳以上の20人に1人(5%)が緑内障で、そのうち約9割は、その調査で初めて緑内障であることが分かりました。それほど気付きにくい病気なのです。

 視野の欠損になかなか気付くことができないのは、両目で見ていると、片方の視野が欠けたり、かすんだりしていても、もう片方の目でカバーしてしまうからです。異常に気づいたときには、病気がかなり進行していることが多いです。