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老後資金が不安だと、20~40代の会社員向けに資産運用をうたってマンションへの投資に誘う営業活動がさかんだ。そこで、あるマンション業者が実際に紹介していた投資物件の条件を基に試算すると、危うい実態が浮かび上がってきた。家賃は下落しないという想定でも、年間収支は35年間ずっと赤字だったのだ。

「週刊ダイヤモンド」2017年6月24日号の第1特集を基に再編集。

マンション投資の営業トークを徹底検証
絶対手を出してはいけない絶望物件

「ボロもうけはできませんが、年間収支はトントンで推移して、ローンを完済すれば、お客さまの資産としてマンションが残ります」――。

 都内に本社がある新築ワンルームマンション販売業者は、こうした売り文句で販売攻勢をかけている。本社ではしばしば、女性限定のセミナーを開催。社員である女性講師がマンション投資のメリットを説く。この手の業者は今、雨後のたけのこのごとく勃興中だ。

 薦めるマンションの立地は、東京23区内の駅徒歩10分圏内に限定され、バス、トイレは別。外観やエントランスの仕様にも、それなりの趣向を凝らしている。

 1棟物のアパートなら都心では1億円前後の資金が必要だが、ワンルームなら新築でも3000万円前後と比較的手軽。対象は主に20~40代で、将来の年金不安をあおったり、副業で小遣い稼ぎができるといった誘い文句で、ワンルームを売り込んでいる。

 実際、どうなのか。ダイヤモンド編集部はある業者が販売している物件の概要を入手し、青山財産ネットワークスの高田吉孝氏の協力を得て試算・分析した。概要は下表の通りで、立地は東京23区内だが隅田川の東側に位置し、最寄りのJRの駅からは徒歩10分だ。