3月に行われた日本銀行による金融政策の「点検」において、上場投資信託(ETF)購入策について事実上の縮小が示された。そのことで、同政策の是非を巡って再び議論が活発化している。そこで、筆者が考える日銀のETF購入策の「四つの問題点」と、同政策の出口戦略を成功させた香港の事例に学ぶ、重要ポイントを解説する。(東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)
日銀のETF購入策が問題である
「四つの理由」
日本銀行の上場投資信託(ETF)購入策について、金融市場参加者や経済学者、マスメディア関係者ら十数人と先日、Zoomでディスカッションした。
非公開の会議ゆえに忌憚(きたん)のない意見が飛び交ったが、参加者の誰一人としてこれが日本経済にとって望ましい政策とは見ていなかった点は印象的だった。「このような政策を大規模化させてしまった日銀自身のガバナンスは一体どうなっているのか?」と懸念する声も多数聞かれた。
筆者自身はETF購入策の主な問題について以下の4点にあると考えている。