「費用対効果が最も高いのは幼児教育」「東大生の2人に1人はピアノを習っていた」などを論拠に、親をあおる早期教育・習い事業界。本当に早期教育や習い事は将来、子どもに高学歴・高収入をもたらすのか。特集『最強の中高一貫校&小学校・幼児教育』(全18回)の#17では、連載「イノベーターの育ち方」に登場した若きリーダーたちへのアンケートを基に検証する。(ダイヤモンド編集部 野村聖子)
若くして成功した経営者は
幼い頃から英才教育を受けたのか
「カエルの子はカエル」――。
子どもの才能や能力は親相応、「凡人の子はしょせん凡人」という意味の言葉だ。しかし、そんなことを頭の片隅で感じていたとしても、親というのはわが子に夢を託さずにはいられないものだ。
その上、周囲の子よりほんの少しでも早く言葉を発したりなどすれば、カエルの子はカエルではなく、「トンビがタカを生んだかも」と期待が膨らんでしまうのも無理はない。
そんな世の親たちの心情を見透かすように、ちまたには「頭のいい子は○歳までに決まる」「ピアノで脳が鍛えられる」など、早期教育や習い事に関する情報があふれている。
結論から言えば、子どもが将来いい大学に入る、高収入を得るなど社会的に成功することと因果関係が多数のエビデンス(科学的根拠)で証明されるような早期教育や習い事は存在しない。
先に述べた○歳までにこれをしろ、ピアノが良いなどといった情報は、誰かの個人的見解や経験上のアドバイスにすぎないものばかり。これらを幼児教育業界が都合よく解釈し、売らんかなで親たちをあおっているというのが現実なのだ。
とはいえ、少しでもわが子を伸ばす手掛かりを得たいものではある。明確な因果関係は証明できないにせよ、「東大生の2人に1人はピアノを習っていた」というような、社会的に成功した人物の幼少期における共通点を見いだすことはできないだろうか。
そこで今回、「ダイヤモンド・オンライン」「週刊ダイヤモンド」で連載中の「イノベーターの育ち方」に登場した、新進気鋭の実業家58人のプロフィールから、彼らの幼少期の教育、習い事に共通点はないかを探ってみた。