外部とのハブになり得る候補者を
いかにプールしておくか

 すべての外部グループとのハブになる存在は貴重だが、その人物への依存が過ぎると、彼(彼女)が間違った意思決定をし始めたときすでに歯止めが利かなくなっていることがある。

 そこで、外部とのハブになる役割を集団で遂行できるように組織的な努力をすることが重要になる。最初から多方面との関係をもとに判断することは無理でも、少しずつ2方面、3方面と複数のルートを持つ人を増やし、全体としては先述の9番がやっている以上のコミュニケーション回路が多く構築されるように導くのである。

 とはいえ、このそれぞれの領域の思考回路や権益の考え方をしっかりと把握し、領域を超えた全体最適を考えることのできる人というのは、そうそういないし、簡単に育つわけでもない。全てのグループとのハブな役割を担う者がいたとしても偶然の経歴から生まれたもので、またその候補が一人しかいなければ、その人のポテンシャルで全体のレベルが決まってしまうのだ。なかなか恐ろしいことである。

 自分の組織においても同じようなことが起こっていないだろうか。もし危うい兆候があるなら、早めに候補者を複数選定し、ハブ的な役割の仕事をやらせるようにしなければならない。

 近頃は、ごく軽い社内SNSのアプリケーションなどでも、従業員同士のやりとりの頻度を可視化することができる。社外の人との関係を作ってもらうためにそれなりの経験を積ませて育て上げるのは確かに時間もコストもかかるが、役職者でなくとも、普段から他部署の人とよくやりとりしているような人を候補者として見つけることは、以前よりもずっと簡単になっているはずだ。

(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)