研究では、9番のようにつながりが多様な人ほど給料が高い傾向があることがわかったという。外部者とつながることで知識や情報を学び、業績が向上するというのである。9番のようなハブになれる人には大きな価値が宿るのだ。

 さて、上記は社内の話だが、社外の関係においても同様のことが起こる。例えば、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の場合、まずは、オリンピックというスポーツの祭典であり、スポーツ界との関係が深く、所管省庁である文部科学省との関係性が強いことは最重要である。世界のアスリートの祭典であり、海外のスポーツ界とスポーツ界の重鎮たちとの関係も必要となる。またこれだけの国家イベントであり、政府や主催都道府県などとの強い関係性もむろん必要となる。さらには、スポンサー企業関係との調整も大事になるから、産業界との良好な関係性の維持も問われる。交通や警護、運輸などのあらゆる領域での規制にもかかわってくるから、官界との関係も欠かせない。

 スポーツ界、文部行政、文部科学省とつながりの深い文教族、ヨーロッパの貴族、政府や都道府県、海外スポーツ界、政界、地方行政、産業界、官界……など、多方面にわたる関係性の調整が必要となり、それぞれの異なる利害と思考様式をすべてつなぎ合わせて、最適解を得るなどということは至難の業だろう。

 もしこれらすべての領域に対して顔が利き、それらの領域の人たちの要望を把握し、最適解とまではいかずとも総合的に調整することのできる可能性がある人(9番のような人)がいたらどうだろうか。皆がその人に相談を持ち掛け、その人を介して、他の領域との協議を進めることになることは必至である。

その人に任せておけば
全体最適という風潮ができる

 具体的には、全ての派閥とつながっている9番をハブとするメリットはこんなところにある。例えば、上図の1番がいる右上のグループが官界を中心とするグループなら、他の領域(たとえば産業界やスポーツ界)との調整は9番にまかせれば、235番とともに官界の業務推進にのみ集中することができる。

 同様に中央下のグループの234番は左上のグループと何かを直接調整する前に、9番に相談して、調整を頼むようになるだろう。こうなると、重要なことは全体のことをよくわかっている9番を通して調整するほうが、直接交渉するよりもあらゆる面でメリットを生み出すことになる。

 情報が情報を生み、あらゆることが9番を中心に回り始め、9番のところには重要な情報がすべて集まる。そうなると9番は、仮に、ちょっと実務能力が足りなかろうが、若干性格に問題があろうが、多少思想に偏りがあろうが、「余人をもって代えがたい人」になるのである。