「行動記録表」をつけたら、マリカーと昼寝が多かった

――ネルノダイスキさんの、現在のお仕事内容と「独学歴」を教えてください。

 現在の私の仕事は主にフリーランスでイラストレーションと漫画の仕事に従事しています。

 独学歴というと大袈裟ですしこれを独学と言っていいのか微妙ですが……長年、絵を描いて表現してそれを仕事にしたいと思っていたので、若い頃は
「その世界の大御所や重鎮たちや憧れてる人たちのことをとにかく調べまくる」
ということをしていました。

 その人たちがどんなことを考えてどんな本を読んでどんな人に憧れて、どこに行って何をみて、どんな判断をして、そこに至ったのか、ということをとにかく調べていたんです。

――面白いですね。具体的にはどんなことをしていたのでしょうか。

 本があればそれを探して読んだり、ルーツになる人がいればその人のことも調べたり。時には習慣を真似してみたり。そうすると、おぼろげに共通点が見えてきたりするんですよ。例えば「何があっても毎日絵を描き続ける」とか。一見、そんなことか……という「あっけない共通点」なんですが、それによって、僕自身が「毎日絵を描く」という行動に確信が持てるようになりました。

『独学大全』「私淑」にも少し近いものかもしれません。

――マンガの中で「一人で仕事する人は独学してるようなもの」という表現がありました。ネルノさんが漫画家さん、絵描きさんとしてお仕事する中で、実際にどれくらいの時間を調べものに費やしていらっしゃるのでしょうか?

 今取り組んでいる仕事はとにかく科学的なことから雑学的なことまで調べることが多いので毎日図書館から借りた本、書店・古書店などで買った本や、インターネットで検索して調べものをしてます。最近は一日4.5時間くらいは調べ物に費やしています。

 それ以外に漫画を描く際にも改めて「自分は何も知らないなぁ」と思い知らされることが多く、そのたびに資料を探したり確認作業をしたり、といった感じです。

 ちなみにインターネット以前はとにかく書店古書店を上から下までひたすら探す、という体力任せの方法でした。

――『独学大全』を読んだことで、改善・効率化したことはありましたか?

『独学大全』の9章に書いてある資料の集め方は本当に具体的でとても参考になることが多かったです。特に「雑誌記事(論文)調査」という技法は目から鱗でした。このやり方で、今まで見つけられなかった資料にたどり着けました。

 具体的には公園の遊具に関して調べていて「造形遊具 レビュー」で検索したら今まで見つけられなかったような公園の遊具の知識がたくさん出て来た、というようなことが結構ありました。論文や図書館の使い方もより深く具体的で、今まではなんとなく知ってはいたものの手探り感があったものがルートが一気にはっきり見えた感じがあってすごく頼りになる感じがしました。

 それと、「行動記録表」も早速始めてみました。

 今まで前の日に予定を立てて、ということはやっていましたがそれと比較して自分の行動も記録して照らし合わせて検証する、というのは初めて知って驚きました。

――どんな気づきがありましたか?

 思ってた以上に「マリオカート」と昼寝の時間が多くて自分でも呆れました。一生懸命働いているつもりだったんですが……。毎日記録して見てると改善点がわかりやすく浮き彫りになりますね。

――マリオカート(笑)。ネルノさんらしさが出ていて面白いです。

最後に、フリーランスでお仕事をされている方、クリエイターの方に向けてメッセージをお願いいたします。

 フリーランスで仕事をしていると自分の時間の使い方が特に大事になりますよね。でも、「自己管理がどうしても苦手」というは多いと思います。でも、『独学大全』「独学の継続は困難で人の意思はそれほど強くない」ということを前提にしてさまざまな手ほどきを書いてくれているので、一つくらい自分に合うものが見つかるのではと思います。

 それと「何か行動を起こしたい」と思っている人は読むなり、買ってすぐに全部読めなくてもひとまず傍に置いておくと何かが変わりそうです。困りごと索引を見て今の自分に必要かもと思うところだけまずは読む、でもいいと思いますし、何か始めたら他のことも数珠繋ぎで必要になってくるのでその時この本を使いたおせばいいと思います。

【マンガ】仕事が詰まっているのになぜかゲームをしてしまう…全てのフリーランスが読むべき1冊ネルノダイスキ
イラストレーター・漫画家
創作同人誌即売会コミティアで漫画を発表したりギャラリーで作品展示を行うなどの活動を続けている。漫画や書籍の装丁、レコードジャケット、ミュージックビデオ、なども手がける。第19回文化庁メディア芸術祭マンガ部門で同人誌「エソラゴト」が新人賞受賞。著書に『ひょうひょう』(アタシ社)、『いえめぐり』(KADOKAWA)がある。