首相の菅義偉にとって難関の一つだった米大統領、ジョー・バイデンとの日米首脳会談から約1週間。政府関係者は口をそろえて「大成功」を口にするが、なお評価は定まらない。むしろ懸念の声も少なくない。
バイデンが就任後初めての対面による首脳会談の相手に選んだのが菅だった。それだけにコロナ禍で歓迎夕食会など大勢の人が集まる行事はなかったが、菅への配慮は随所に感じられた。
米政府が菅に用意した宿舎は大統領迎賓館のブレアハウス。1989年1月に改装されたブレアハウスの賓客第1号は当時の首相、竹下登。竹下は「ベッドが高くて、よじ登るようだった」と話していたが、菅もそんな感想を持ったに違いない。ベッドは天蓋付き。めったにお目にかかれない豪華な寝室で菅は訪米初日を終えた。
翌朝は菅のリクエストで旧知の元駐日米大使、キャロライン・ケネディとブレアハウスのダイニングルームで朝食を共にした。バイデンと会談する前に、バイデンや女性初の副大統領カマラ・ハリスの人となりをケネディから“情報収集”するのが目的だった。
そして4月16日午後(日本時間17日未明)、ホワイトハウスでバイデンとの首脳会談に臨んだ。同席者は両国の通訳だけ。目の前には大きなハンバーガーが用意されていたが、菅もバイデンも一切手を付けなかった。帰国後に出席した自民党役員会で、菅は初会談についてこう語っている。