写真:ジョブ型リモートワークは「社員の選別ツール」にもなり得る Photo:PIXTA

在宅勤務を機能させるためには
従来の評価方法を改める

小宮一慶・小宮コンサルタンツ代表小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 ウイズコロナ時代の働き方として、リモートワークが定着しつつあります。社員が現場に出なければならない業種、例えば、製造業や飲食・販売といったサービス業ではリモートワークは難しい場合もあります。

 その一方で、大企業や中小企業の総務・管理部門や企画部門、研究部門などのデスクワークや、一部の営業職、コールセンターなどの顧客対応窓口などは、リモートワークになじみやすいといえます。

 私は本連載の2020年7月11日に配信した「部下のテレワークを『休暇』にしてしまう、無能な上司のマネジメント」の記事内で、「在宅勤務を機能させるためには、上司は、同じオフィスでともに仕事をすることを前提とした従来の部下の評価方法を改め、リモートワーク下でも適用できる『パフォーマンスによる評価方法』を新たに考え出さなければなりません」と書きました。

「パフォーマンスによる評価方法」と大きく関係するのが、仕事内容に合わせて人材を採用し、「仕事の質」や「成果」で評価する「ジョブ型雇用」です。

日立製作所や資生堂は
「ジョブ型」への転換を宣言

 リモートワークが定着すると、ジョブ型雇用への転換が加速するといわれています。日立製作所や資生堂のようにジョブ型への転換を宣言して、「ジョブ・ディスクリプション(職務の目的や内容、範囲、責任、必要なスキルなど、職務内容を詳しく記述した文書)」を記述し、会社が社員に対してどのような仕事をし、アウトプットを求めているのかをはっきりとさせる企業も増えています。求められるのはあくまでも「アウトプット」なのです(そういう点では、ジョブ・ディスクリプションもアウトプットを念頭においたものでなければなりません)。

「でも、ジョブ型は社員数の多い大企業だからできることであって、人の数が限られる中小企業では難しい」――。

 このように受け止めている経営者もいますが、「大企業だからできる」「中小企業だからできない」という理屈はありません。