現金よりもポイントの方が価値があるように感じる錯覚に注意

 ポイント×銀行といえば、3月31日にTポイント会員専用の銀行サービス「T NEOBANK」がスタートした。スマホに専用アプリをダウンロードし、Tポイントを利用しているIDでログイン後、住信SBIネット銀行の専用口座開設の手続きをすれば利用可能になる。キャッシュカードを発行せず、アプリ上でコンビニATMからの出金操作をするという。この「T NEOBANK」も、前述の2サービスと同じように、給与受け取りや口座振替、投資商品の積み立て等に応じてTポイントが貯まる。さらに、ローンの返済にポイントが充てられるというのはユニークだろう。

 ゼロ金利時代では、金利優遇競争で客を集めるのはすでに限界だ。ポイント戦略にシフトしていく銀行は今後も増えていくに違いない。しかし、我々ユーザーが気を付けるべきことは、ポイントへの錯覚だ。例えばポイントと現金の価値は等価であり、1円=1ポイントだとしよう。しかし、「100円」よりも「100ポイント」の方が、不思議と多く感じてしまう人も多いのではないか。

 これは一種の「フレーミング効果」だろう。フレーミング効果とは、同じ事実であっても表現を変えることで、我々が受ける印象が異なってしまうことを示す。例えば「10人のうち4人がダイエットに成功」と、「10人のうち6人には体重の変化が見られなかった」では、同じ事象なのに受ける印象は真逆になる。「100円相当」より「100ポイント」の方がおトクな印象を受けるのは、まさに表現マジックではないか。

 同様に「メンタルアカウンティング(心の会計)」と言われる錯覚もある。100円であれば財布に入れれば気軽に使えるが、ポイントで受け取ると現金とは別のお金として分けて扱う。二重に「特別なお金」として捉えてしまうのだ。

「ログインして5ポイントもらえる」のはありがたいが、フレーミングやメンタルアカウンティングの錯覚効果を取り払って見れば、「5円もらえる」というだけのこと。特別視しすぎることなく、平常心で利用しよう。