また、クーポンを利用する際、「店員に50円引きのクーポンの利用に必死だと思われたら恥ずかしい」「初デートの女性の食事代にクーポンを使うと嫌われるかも?」「注文時に提示し忘れたけど、会計時だと利用できないと言われたら嫌だな」など、店員や同伴者にどう思われるかを気にして利用しない人もいます。こうした心理的ハードルも想定しておくべきでしょう。

 高い頻度で来店してくれるリピーター客(常連客)は割引をしない通常価格で利用してくれる大切な顧客にもかかわらず、グルメサイト経由の新規客だけを優遇してしまうと、不公平感から常連客が離れてしまう可能性があります。

 そして、「安さだけがウリの店になる」は、意外かもしれませんが最もダメな理由です。

 割引などの値下げをすると利益率が下がりますが、売り上げが一時的にアップすることで成功したと勘違いをしてしまい、基本的な料理や接客のレベルを上げる努力がおろそかになります。安さが理由でリピーターになった顧客は他に安い店が現れたら簡単に乗り換えます。リピーター客のいない店になってからではもう手遅れです。

 このように、コロナ禍で減ってしまった売り上げを増やす策として、なんとなく割引クーポンを導入している店は、当てはまる「ダメな理由」がないかチェックすることをおすすめします。

ダメ飲食店から脱却するには?
クーポンは割引ではなく「おまけ」に

 間違った集客施策を行ってしまうダメな飲食店に共通点していることは、「売り上げが増えれば利益も増える」と勘違いしていることです。

 例を挙げれば、今まで1000円で販売していたメニューを510円に値下げして、客数が倍になれば売り上げはアップしたことになります。

 しかし、客数が増えると店員不足になるのでアルバイトを増やしたり、食材を仕入れ過ぎて廃棄が増えたりと、人件費や原価で不効率が出やすく、売り上げは増えても利益率は下がります。場合によっては赤字になることもあります。

 割引クーポンでなんとなく売り上げアップしようとしている飲食店は、実は同じようなことをやっているのです。