抱える仕事の「見える化」が急務な理由

 もう一つ、このアプリには大きな特長がある。データ分析機能が付いていることだ。日々の運用で蓄積された膨大なデータを自動で分析し、チームの状態を可視化できるようになっている。そのことにより、管理職のデータ分析の負担軽減はもちろんのこと、これまでに感覚的に捉えてしまっていたチーム状態を数値化・言語化できるようになり、チーム上の課題が顕在化しやすい。

「介護は数人のチームで行いますが、メンバーの発信数や活用状況からチームの状態を自動的にグラフ化することができます。また、過去の離職者の利用状況をデータとして蓄積することにより、同じパターンが出現した際に、管理者がいち早く察知して離職を防ぐ対策を講じることも可能です。早めに手を差し伸べてあげれば辞めずに済んだ、というケースが非常に多いのです」(秦さん)

 さらに部署間のつながり度合いを可視化することもできる。これを活用すれば管理者がより良い人材配置を行えるようになる。また、職員だけでなく、介護当事者や家族も感謝や称賛のメッセージを贈ることができる。

「介護を受けている方から介護職員への送信機能を付けたのは、職員の意欲向上につながり、結果的には顧客満足を高めることになると考えました。各種の機能やポイントサービスは、施設の状況に応じてカスタマイズできますので、より効果的な方法で活用していただけます」(秦さん)

 介護現場に良好なコミュニケーションを作り出すことで、職員の離職を防ぎ、利用者の満足度を高める介護thanks!。導入を検討する施設がいま増えつつある。

 これから急速に増えていく要介護者。介護の担い手を少しでも増やし、定着を図ることで、介護の「2025年問題」を解決する糸口が見つかるかもしれない。このアプリは、大きな可能性を秘めているのではないだろうか。

(吉田由紀子/5時から作家塾(R))