イラクやシリアでは過激派組織「イスラム国(IS)」が勢力を失い、崩壊寸前だった。ところがコンゴ東部のジャングルから1人のジハーディスト(聖戦主義者)が動画配信サイト「ユーチューブ」に登場し、中央アフリカで再びカリフ制イスラム国家の建設に乗り出すと宣言した。「コンゴでわれわれの活動に加わることを世界のイスラム教徒に呼びかける」。アラブ人と自称するこの男は、大型機関銃と弾帯を身につけ、生い茂る高木の下でみすぼらしい戦闘員を両横に従えていた。「神に誓って言う。ここがイスラム国の拠点だ」専門家は動画にほとんど注意を払わず、衰退したテロ組織が世間の注目を集める試みに過ぎないと考えた。だが動画公開から3年後、ほぼ無名だったISの「中央アフリカ州」(ISCAP)が急速に勢力を拡大。米国務省は先月、同組織と指導者らに初めて制裁措置を発動した。