大型連休が終わると同時に政局は本番を迎える。ゴールは10月21日が任期満了の衆院総選挙。「勝負の半年間」の最終ラウンドのゴングが鳴った。ディフェンディング王者が解散権を握る首相の菅義偉であることは論をまたないが、その菅の足元がおぼつかない。連休前の4月25日に行われた衆参3選挙で「自民全敗」。その結果が尾を引く。そして迷走する新型コロナ対応だ。
衆参3選挙の自民全敗を受けて菅は26日午前、首相官邸で記者団の取材に応じた。
「国民の皆さんの審判を謙虚に受け止め、さらに分析した上で、正すべき点はしっかりと正していきたい」
ただ菅は肝心の「審判」の中身については全く触れなかった。衆院北海道2区の候補者見送りによる不戦敗と参院広島選挙区の再選挙惨敗は共に、「政治とカネ」に原因があったことは言うまでもない。広島の再選挙を巡っては県選挙管理委員会のこんなキャッチコピーが話題を集めた。
「だまっとれん。」
再選挙の原因が元参院議員、河井案里の公選法違反による選挙だっただけに強烈なインパクトを与えたが、それだけではないだろう。コロナ対応を巡る政治の機能不全に対する痛烈な皮肉が込められていたとみていい。
自民党にとって広島での敗退は深刻だ。自公候補は約50万といわれる保守の基礎票にはるかに及ばない約33万7000票に終わったからだ。勝利した立憲民主党などが推薦の宮口治子は約37万票を獲得した。自民党の典型的な負けパターンである「自民党支持者が投票に行かなかった」(自民党選対幹部)ことが浮き彫りになった。