「社員への配慮」から始まる、企業の社会的責任
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SDGs、ESG投資などが注目され、社会(ヒト)と環境(自然)を気遣うサステナブルな事業経営を目指す企業が世界的に増えています。こうした中、企業にとり社会(ヒト)の中で最も身近で重要なヒトは社員です。環境対策や消費者保護もさることながら、まずは社員が、人権を守られた働きやすい環境で生き生き仕事ができているか?これを問い続けることが企業の社会的責任の基本です。(Nagata Global Partners代表パートナー、フランス国立東洋言語文化学院非常勤講師 永田公彦)

CSR、SDGs、ESG投資…どれも社員への配慮を求めている

 世界的に、産業界におけるサステナブル事業経営は、CSR(企業の社会的責任)の概念に基づき行われるのが一般的です。参考までに、EUは2001年にCSRに関する政策上の概念を、「企業は、内部(人事・労務管理、社員の健康と安全、事業環境変化への対策、事業が関わる自然環境と天然資源への影響管理)および外部(地域社会、事業パートナー、消費者、人権、地球環境全体)に対する社会的責任を負うもの」としています。

 これに最近、世界全体の社会(ヒト)と環境(自然)をより良くしようする国連のSDGs( 持続可能な開発目標)や、投資家の視点から事業経営を評価しようとするESG(環境・社会・統治)が加わり、企業のサステナブル事業経営は、包括的なものに発展しつつあります。

 このように企業のサステナブル事業経営の概念は、時代とともに進化していますが、いずれにせよCSR、SDGs、ESG投資等のどれをとっても、共通する企業への要求が二つあります。一つは、社会(ヒト)と環境(自然)の双方への配慮、二つ目は、その優しくすべき社会(ヒト)の中に、自社の社員も含まれることです。

CSRに取り組む企業には、幸せな社員が多い

 社員が、CSRに関しどのような認識を持つのかを示す、体系的かつ最新の調査データを紹介します。フランスの経営者団体MEDEF(日本の経団連に相当)が全国の社員20人以上の企業に勤める社員に実施する、『Baromètre national de perception de la RSE(CSRの認識に関する全国指標)』という調査です。

 2020年度調査(約1500人対象)によると、回答者の70%が、今の会社で働くことが幸せであると回答しています。これは特に16~24歳の若年層で81%と高く、CSR専門部署がない企業の社員では64%に対し、これがある企業では83%と高くなっています。

 また、6割以上の社員が、CSRを通じ企業は社会に良い影響を与えている、7割以上が自社はCSRを通じ革新的であると認識しています。このように、企業がCSRを重要な経営戦略として取り組むほど、社員はその取り組みを肯定的に捉え、企業への帰属意識やロイヤルティーが高まることを示唆しています。