仲間との達成感を味わわせ、部下の自己重要感を育てる

 自己効力感と似た言葉である「自己重要感」も、部下を育てるときの大切なキーワードとなります。

 自己重要感とは、組織のなかで自分が重要な役割を担っていると思えることです。チームのそれぞれのメンバーが自己重要感を持っていれば、何か問題が起こったときなどに大きな効果を発揮します。「この分野は私が得意なので、ぜひ任せてください」といったように、自分の強みをもってチームに貢献しようと、自発的に行動することができるようになるのです。

 しかし、上司が部下と1対1ではなく、複数のチームメンバーをマネージメントしている場合、テレワークの環境のなかでは問題が生じやすくなります。リアルな職場環境とは違い、テレワークではチームのほかのメンバーの様子があまり見えません。それだけに、自分の役割に対する意識が薄れがちになり、自己重要感を持ちにくくなることがあるのです。

 そこで、チーム全体をマネージメントする上司としては、組織の一員としての意識を高めてもらうためにも、全体ミーティングを積極的に行うようにしましょう。ひとりひとりが取り組んでいる仕事をオープンにするのが狙いです。

部下に割り振る仕事を3つのパターンに分ける

 チームにいる部下のレベルはさまざまだと思います。成長してもらうためには、仕事の割り振り方も大切になってきます。まず、仕事を3つのパターンに分けます。

パターン1:平坦な道で経験を積ませる

 習熟度の低い部下の場合は、仕事の質を高めるよりも、まずは量をたくさんこなすことをテーマとします。

 この段階で部下に課すのは、歩きやすい平坦な道で、数多くの経験を積んでもらうような仕事です。がむしゃらに取り組んでいくうちに、仕事の本質やコツ、法則などを自分なりに考え、ノウハウを蓄積していきます。

 身に付くのは基礎的な業務推進力。こういった仕事はこのやり方がいい、こうすれば早く正確にこなせる、といったことが経験を通じて分かるようになり、成功事例がたまって自信につながります。量をこなすことにより、自分なりのノウハウが身に付いたら、次の段階である“質を高める育成方法”に移ります。

パターン2:坂道で負荷をかける

 ある程度仕事に慣れてきた人にとっては、ただ量をこなすだけでは、仕事の質は現状維持でほとんど変わることがありません。質を高めるにはある程度の負荷が必要なのです。そこで、次のステップとして、前に進んでいくのにやや骨が折れる坂道を歩いてもらうようにします。

 例えば、難易度がやや高い顧客の対応や、経験のないプレゼンテーションでの説明役、リモート会議の進行役といった、これまでにやったことのない業務を担当してもらうと、負荷がかかった状態で仕事に向かうことになります。仕事を進めるうちに、冷や汗をかくようなシーンを何度か経験するかもしれません。これまで身に付けてきたノウハウが通用しないので、必死に考えなければならないことも出てくるでしょう。

 こうした歩きにくい坂道を進んでいくなかで、応用力やイレギュラー対応力などが次第につき、仕事の質が高まっていくのです。