手を出しやすい大麻が
「より強い刺激」への入り口に

 意外な形で発覚するケースもある。昨年9月、新型コロナウイルス対策の持続化給付金をだまし取ったとして、愛知県警は愛知大の学生(退学)を詐欺容疑で逮捕。共謀し、確定申告書の偽装に関与したとして知人の20代税務署員(懲戒免職)を逮捕した。その家宅捜索で大麻が見つかったとして、大麻取締法違反(所持)の疑いで2人は再逮捕された。

 この元愛知大生は今年3月、執行猶予判決を受けたが、プロ球団がドラフト候補として注目していた野球部所属の投手だった。元税務職員は2月の初公判で起訴内容を認めている。

 大麻に対する危険性の認識が薄いという事実を示すように、警察官の摘発も少なくない。20年だけで▽5月、兵庫県警の20代巡査▽6月、大阪府警の20代巡査▽7月、山形県警の20代巡査▽11月、北海道警の20代巡査――が摘発されている。やはり、いずれも20代だった。

 一般的に、1グラム当たりの末端価格は覚醒剤が6万円、コカインが2万円なのに対し、大麻は6000円と安価というのも、手を出しやすい理由とみられる。

 大麻は、「ハードドラッグ」と呼ばれるコカインやヘロイン、覚醒剤に比べて副作用や依存性は低いとされる。しかし、ハードドラッグ使用の入り口になるとの理由から「ゲートウエイドラッグ」とも呼ばれる。

 筆者が現役の全国紙記者だった頃、違法薬物の取り締まり担当だった元警察幹部は「軽い気持ちで手を出し、やめられなくなったり、より強い刺激を求めるため覚醒剤などに手を出したりすることもある。決して興味本位などで試すようなことはしないでほしい」と警鐘を鳴らしていた。