役職定年ではしごを外される前に
次のキャリアを切り開くべき理由

 最近は人員削減の対象かどうかに限らず、それなりの経歴があっても役職定年で大きく報酬を下げられた上、あまり仕事をさせてもらえなくなった人からの転職相談が散見されるようになりました。この人たちは報酬への不満というより、半ば強制的に戦力外扱いされてプライドを大きく傷つけられたことに強い不満を抱いています。

「会社の言うことを聞いておけばよい」が機能していた時代は、役職定年がありませんでした。定年というゴールまで会社がきちんとレールを敷いてくれていたのです。しかし現在はゴールまでレールが続いているように見えても、実際には途中で途切れています。

 役職定年後、どのような処遇になるのかは会社によってかなり差がありますが、将来こうした状況に陥る可能性があるなら、当然対策を考える必要があります。

 その第一歩としては、まず社外の人に会い、外部の空気に触れることです。職場を離れたところで人的ネットワークを構築し、今の職場とは異なる視点を獲得すべきでしょう。

 その上で、これまで蓄積してきたキャリアを振り返り、自分は何ができるのか。1時間費やすとすれば何をやっているときが最も高いパフォーマンスを発揮できるのかを考えてみることです。それが自分の好き嫌いとは関係なく、最も誰かの役に立てる領域なので、そこを中心に磨いて次のキャリアを切り開いていくとよいでしょう。

 切り開く場となるのは現在の会社かもしれないし、転職で新しい活躍の場を探すことになるかもしれません。いずれにせよ、役職定年で事実上の戦力外となり第一線から降ろされてしまった場合、半年もしたら頭も体も鈍ってしまいますから、次のキャリアを切り開くにはできるだけ早く対策を取るべきです。

 ヘッドハンターが声をかけるのは、今活躍している人です。活躍していない人はリストアップすらされません。「活躍できなくなったから、ほかに新天地はないだろうか」と考えているときには声はかかりません。反対に、活躍しているときは転職するつもりがなくてもたくさん案件が寄せられるでしょう。

 つまり、次のキャリアを切り開くには自分の仕事が良い状態にあるうちに準備を進めるべきだということ。状態が悪くなってからではそれが困難になってしまうことは、もっと周知されてもいいと思います。

(株式会社クライス・アンド・カンパニー代表取締役 丸山貴宏)