正解は、Cです。順に解説してまいりましょう。

× A. ストライプ柄の濃紺のスーツ×赤の水玉柄ネクタイ

 こちらの回答は、間違いであることに気づかれた方が多いのではないでしょうか。

 濃紺は、ビジネススーツの基本色の一つです。ただし、おわびのシーンであれば、スーツは無地が適切でしょう。また赤色のネクタイは、赤が持つ「情熱」「やる気」「パワー」を伝えるシーンでは良いのですが、おわびのシーンでは避けましょう。というのも、赤は人を興奮させる色みでもあるからです。

 水玉柄はネクタイの柄の中でも「上品で洗練されたエレガント柄」という意味合いがあり、ビジネスから社交まで使いやすい柄ですが、赤色で水玉となると華やかなイメージが強く、おわびには全く適していません。

× B. 黒い無地のスーツ×グレーのストライプ柄ネクタイ

 一見問題ない選択のように思えますが、正解ではありません。

 日本のビジネスシーンでは、黒いスーツは定番の一つのようになっていますが、黒いスーツといえば、冠婚葬祭の色。欧米のビジネスシーンで黒を着ることはありません。

 欧米から入ってきたスーツ文化が、日本流に変化していることはたくさんありますが、黒のスーツもその一例です。

 実際に、テレビで記者会見を見ていても、黒のスーツを選ばれる方を時折お見かけします。しかし、黒はそもそも「威圧的」という意味合いもあるため、謝罪では基本的に避けましょう。

 グレーのネクタイは、色みとして「真面目」「落ち着き」という意味もあり、一見間違ってはいなさそうですが、ストライプ柄を謝罪で選ぶのは間違いです。ストライプはビジネスの定番柄ですが、「戦う攻めの柄」という意味があり、ここぞの営業やプレゼンテーションなどでは相性が良いものの、誠実に謝罪をしたいシーンでは不適切です。

 また、ストライプはレジメンタルとも言い、原点は英国の連隊旗です。所属性の意味合いが強いため、ヨーロッパでビジネスをする際には、配慮が必要な柄といえるでしょう。

〇 C. チャコールグレーのスーツ×紺の無地ネクタイ

 こちらが正解です。

 スーツの基本色は、濃紺とチャコールグレー(黒に近い濃いグレー)の2色です。どちらも謝罪のシーンでは着用が可能ですが、より控えめで落ち着いた印象になるチャコールグレーは最適です。

 ネクタイも「信頼」「誠実」を表し、後退色(遠くにあるように見える色)でもある紺色の無地のネクタイであれば、あなたの思いを言葉だけでなく服装でも表し、気持ちを届ける後押しになるでしょう。職場に1本あるとどんなシーンでも使いやすく、安心のネクタイともいえるでしょう。小紋柄といって、小さな同柄が等間隔に整列しているネクタイもビジネスでは万能であり、中でも控えめな柄であれば、おわびのシーンでも使っていただくことは可能です。ネクタイは光沢があるものでなく、マットで目立たない生地であることもポイントです。

 いかがでしたでしょうか。

 おわびのシーンで一番大切なことは、本当にご迷惑をおかけして申し訳ないという気持ちを誠実に丹精込めて相手に届けることです。そして、そのためにはとにかく誠意をもってすぐに駆けつけることも大切です。

 ただ、服装という非言語のメッセージも人の印象を形成する上で重要な一つであり、軽んじてはならないポイントです。服装は “相手への配慮の証し”。そう考えると、日頃からさまざまなシーンを想定し、万が一に備え準備をしておくことが、危機管理に優れたビジネスパーソンともいえるのではないでしょうか。