アサヒが微アルコール飲料を発売した
納得の理由

 さて、ビアリーの話に入ります。日本のビール市場は、マーケティング的には五つのカテゴリーに分かれています。普通のビール、ワンランク上のプレミアムビールや地ビール、発泡酒、新ジャンル(第三のビール)、そしてノンアルコールビールです。

 最初の4カテゴリーがアルコール飲料で、アルコール度数はだいたいどれも同じ5%。消費者は主に、価格と価値のトレードオフ(どちらを取るか)を考えて商品を選びます。家飲み主体でたくさん飲みたい人は安価な新ジャンルをケース買いしますし、価格が高かろうがとにかく『スーパードライ』が飲みたいという人もいます。

 一方で、アルコール度数0.00%のノンアルコールビールを飲む人にはたぶん二通りあって、ビールが好きだけど車で来ているなどの理由で今日はノンアルを飲むという人と、ビールは飲めないけれど同じ雰囲気を味わいたいのでノンアルを注文する人。私の場合が後者です。

 一般に欧米人と違い、日本人にはお酒を飲むと発生する有害物質のアセトアルデヒドの分解酵素を遺伝的に持っていない人が結構います。私がそれで、おそらく遺伝子が2本ともお酒に弱いようです。日本人の約1割が、私のようにお酒がまったく飲めない体質だということです。私の場合、ビールを飲むとすぐに顔が真っ赤になり、頭痛がして、眠気がおきます。

 同様に日本人の約3割は遺伝子が1本だけお酒に弱いそうで、そのような人たちもやはり飲み会でお酒を注文しなかったり、少量だけおつきあいで飲んだりするような消費者になるそうです。

 それで冒頭の話になるのですが、そういったお酒が飲めない人生を送っていると、日本人の約6割に相当するお酒が飲める人たちの人生がうらやましくなってきます。なんとかならないかなあと切実に思うのです。

 ちなみに50代以上でサラリーマン経験のある方は、学生時代や新入社員の頃に、それでも結構アルコールを飲まされて鍛えられた経験があるかもしれません。