コロナ禍から企業が復活するのは一体、いつになるのだろうか。上場100社超、30業界を上回る月次業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、2021年1〜2月度のビール編だ。
キリン、アサヒ…コロナ禍で決定的な業績格差
ビールの主要4社が発表した2021年1〜2月度の月次業績データは、以下の結果となった。
○キリンビール(キリングループ)のビール類計販売数量
1月度:前年同月比92%(8%減)
2月度:同98%(2%減)
○アサヒビール(アサヒグループホールディングス〈HD〉)のビール類計売上金額
1月度:前年同月比69%(31%減)
2月度:同76%(24%減)
○サントリー(サントリーHD)のビール類計販売数量
1月度:前年同月比79%(21%減)
2月度:同79%(21%減)
○サッポロビール(サッポロHD)のビール類計販売数量
1月度:前年同月比70%(30%減)
2月度:同96%(4%減)
ひとくちに「ビールメーカー」といっても、今回取り上げた4社の業績には差がある。例えば、2月度の業績における前年同月比の数字が相対的に最も良い「キリン」は2%減とほぼ前年並みで踏みとどまった。一方で、最も苦戦している「アサヒビール」は24%減と、前年の4分の3程度の実績となってしまった。
アサヒの月次業績データの指標は「販売金額」であり、キリンを含む他の3社は「販売数量」のため単純比較はできないが、あえて減少率に注目するならば、その差は12倍以上。両社の業績に差があるということは十分推測できる。なぜ、ここまでの差が生じたのだろうか?