地元との往復などで
年間交通費は900万円超

 では、一般的に堂々と議員パスを利用できるケースをご紹介します。

 当たり前ですが、国会と地元選挙区を行き来するときにJRを利用するのであれば、普通券、特急券、新幹線チケットは無料になります(ただし、私鉄や地下鉄は無料ではありません)。

 ちなみに、寝台車は無料で、私も終電を逃したけれど翌日の朝一の勉強会に出席するために利用したことがあります。

 私が最も利用していたのは新幹線でした。国会での仕事と、地元活動の両立のためにほぼ毎日、東京と京都を往復していました。多い日は2往復をしたことがあります。東京・京都間の所要時間は2時間20分なので往復だと4時間40分。2往復だと9時間20分です。当時、1度だけ2往復半したことがありますが、もう自分がどこにいるのかわからなくなりました(笑)。

 こういうケースは、始発で東京に向かい、委員会に出席し、また京都に戻り、式典に1時間出席し、また東京に戻り勉強会に出席します。その後また京都に戻って地元後援会の方の会合に15分だけ出席して挨拶をし、また東京に戻る、というスケジュールです。新人議員の多くはこのように地元活動と国会活動の両立をするために必死になって頑張っています。

 議員パスを使っているので議員に費用負担はないものの、もしも自腹でとなると相当な金額になります。

 東京・京都間のグリーン席は1万9040円です。2往復ということは7万6160円も1日にかけていたことになります。さすがに2往復はあまりなかったのですが、平日はほぼ毎日往復していたので、単純計算をすると約913万円が年間でかかっていたことになります。けっこうな額ですね。しかし、これが選挙に追われる新人議員の実態でもあります。

 東京と地元との往復のほか、自分の政策テーマに沿った視察でも議員パスを使用します。

 例えば、中小企業政策に力を注いでいる議員は、全国の商工会と意見交換をするために全国行脚をしていました。

 私もキャリア教育推進の一環で秋田の国際教養大学に行ったり、タイル職人さんたちの伝統的な技術を視察するために横須賀の猿島へ行ったり、普天間飛行場の視察のために沖縄へ行きました。ちなみに沖縄へは当然空路で行きますが、それは無料ではなく私費で払います。