8割程度の運行というと、元々1時間当たり20本の運行であれば16本の運行になるわけだが、これは列車の間隔が3分から3分45秒になるということを意味しない。列車の運行間隔を調整するには全面的なダイヤ変更が必要になるから、それはできない。

 そこで20本のうち、いずれか4本を間引くことで対応することになり、3分間隔と6分間隔が混在する結果となる。そうなると必然的に、6分の間隔が空いた後の列車は通常よりも混雑することになる。

 実際、JR東日本が同社アプリ上で提供している山手線のリアルタイム混雑状況を見ると、間引いた後の列車だけが混雑していることが確認できる。これでは感染対策としては本末転倒であり、政府の拙速な介入が招いた混乱だと言えよう。

混雑の悪化を懸念して
西武鉄道は一部運休を中止

 一方、私鉄を見ると、慎重な対応が目立った。東急電鉄は池上線で上り2本、下り2本、世田谷線で上り5本、下り5本を運休。小田急電鉄は成城学園前始発の東京メトロ千代田線直通準急列車5本を運休。京成電鉄は比較的運行距離の短い京成高砂~京成上野間の列車を上り1本、下り1本のみ運休とするなど、ごく一部の列車の運休または運行区間の短縮にとどまっている。

 結果的に減便は大失敗に終わった。西武鉄道は4月27日に、池袋線の上り2本、下り2本の運行区間短縮と、新宿線・拝島線の上り2本、下り2本の運休、下り1本の運行区間短縮を4月30日、5月6日、7日に行うと発表したが、4月30日になって、5月6日、7日については新宿線・拝島線の運休を取りやめると発表した。