<カタリーナ先生のワンポイント・アドバイス>
●労災保険制度は、労働者の業務上の事由または通勤による労働者の傷病等に対して必要な保険給付を行う制度。その費用は、原則として事業主の負担する保険料によって賄われている。労働者であればパートタイマーなどの雇用形態に関係なく利用できる。

●厚生労働省の「情報通信技術を利用した事業場外勤務(テレワーク)の適切な導入及び実施のためのガイドライン」において、「テレワークを行う労働者については、事業場における勤務と同様、労働基準法に基づき、使用者が労働災害に対する補償責任を負うことから、労働契約に基づいて事業主の支配下にあることによって生じたテレワークにおける災害は、業務上の災害として労災保険給付の対象となる。ただし、私的行為等業務以外が原因であるものについては、業務上の災害とは認められない」としている。

●労働災害と認められるには、業務遂行性(労働契約に基づき事業主の支配下にあること)と業務起因性(業務と傷病に相当の因果関係があること)、いずれも満たす必要がある。

●受診した医療機関が労災保険指定医療機関の場合、給付請求書を医療機関を経由して労働基準監督署長に提出する。一方、労災保険指定医療機関でない場合には、いったん療養費を立て替えて支払い、その後費用の請求書を直接、労働基準監督署長に提出すると、その費用が支払われる。

●業務または通勤が原因となった負傷や疾病による療養のため働くことができず、そのために給与を受けられないとき、休業4日目から休業補償給付(業務災害の場合)、複数事業労働者休業給付(複数業務要因災害の場合)または休業給付(通勤災害の場合)が支給される。

※本稿は一般企業にみられる相談事例を基にしたフィクションです。法律に基づく判断などについては、個々のケースによるため、各労働局など公的機関や専門家にご相談のうえ対応ください。

(社会保険労務士 佐佐木由美子)