バイデン米政権は、国連によるシリア越境支援を巡り、ロシアとの全面対決に身構えている。ロシアがシリアのバッシャール・アサド大統領の支配が及ばない地域への人道援助の提供を阻止する可能性があるためだ。争点となっているのは、シリアとトルコの国境にあるバブアルハワ検問所だ。国連はここを経由して、シリア北西部の400万人余りに毎月輸送トラック約1000台分の援助を提供している。米国とその同盟国は、この国境地点を封鎖して国連の援助を阻止すれば、とりわけ内戦で家を失った270万人の民間人が危機的な状況に陥りかねないと主張している。だがロシアは、越境はシリア政府の国家主権を侵害しており、国連の援助はシリア政府が支配する地域から配布されるべきだと主張している。10年に及ぶシリアの内戦では、ロシアやイランを後ろ盾とするアサド政権が、反政府勢力に対して優位に戦いを進めている。
バイデン政権、対ロシアで試練 シリア援助巡り
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