パナソニックと競合するソニーグループ、日立製作所との格差拡大が止まらない。競合2社は2021年3月期、1兆円超の利益をたたき出したが、パナソニックの純利益は2000億円に満たなかった。『パナソニックの呪縛』(全13回)の第3回では、この実力差の要因を事業ポートフォリオの入れ替えや役員人事から徹底解明した。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
パナソニックは売却下手
日立「事業入れ替え規模」のわずか4割
2008年のリーマンショック後、パナソニック、ソニーグループ、日立製作所は数千億円規模の巨額赤字に沈んだ。それから約10年――、2021年3月期で3社の経営再建の明暗ははっきり分かれた。
ソニーは純利益1兆1718億円、日立はEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)1兆3430億円を上げて過去最高益を達成。その一方、パナソニックの純利益は1651億円にとどまったのだ。
なぜパナソニックは「利益1兆円クラブ」から脱落してしまったのか。3社の明暗が分かれた理由を事業ポートフォリオの入れ替えから読み解くと、パナソニックの敗因としてM&A(企業の合併・買収)の規模が日立の4割弱と小さいこと(売上高ベース)、とりわけ売却が不得手であることが浮かび上がった。