パナソニック次期社長として、楠見雄規氏が指名・報酬諮問委員会の審議を経て選出された。次期社長選出の決め手は何だったのか。パナソニックの事業再編改革が日立製作所に大きく後れを取った理由はどこにあるのか。特集『パナソニックの呪縛』(全13回)の第12回では、パナソニックで社外取締役を務める冨山和彦・経営共創基盤(IGPI)グループ会長に、パナソニック停滞の病巣について聞いた。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)
本間氏でも品田氏でもなく、楠見氏が
パナソニックの社長に就いた理由
――パナソニックの指名・報酬諮問委員会の委員でもある冨山さんに伺いたいのですが、ずばり、なぜ楠見雄規氏をパナソニックの次期社長に選出したのですか。
今のパナソニックのトップには“メタ認知能力”が必要だからだ。俯瞰的に見て、ある程度抽象化、普遍化して立体的に物事をとらえられる合理的な人がいい。その点、楠見さんは理系の頭を持っている。
――パナソニックは10月、持ち株会社体制への移行を踏まえた「組織大改編」を実施します。持ち株会社のトップになるということは、事業会社の変革方針や事業の存続や撤退判断について「Yes」「No」をしっかり突きつけなければならないということ。津賀(一宏社長)体制が最も苦労したといわれる「シビアな決断」も、楠見さんならできるということですか。