60歳まで引き出せないので要注意

 iDeCoの特徴は、一度拠出したお金は原則として60歳まで引き出せないということだ。これは、「意志の弱い国民でも老後資金をためられるように」という政府の親心ともいえる。ダイエットや禁煙に失敗し続けている人にとっては、ありがたい話であろう。

 もっとも、景気の影響を受けやすい自営業者は注意が必要だ。「あと100万円あれば倒産を免れたのに」といった思いをする可能性があるので、政府の親心があだとならないように、慎重に判断した方がよい。

 所得税の仕組みを知らない読者にとっては、所得控除の効果は考えているより大きいはずなので、一度計算してみるといいだろう。給料明細から「(所得税額+地方税額)÷給与総額」の比率を計算して、それを拠出額に乗じて得られた金額よりもはるかに大きいのだ。

 その一因は、基礎控除などが存在していることである。給与額から基礎控除などを差し引いた後で税率を乗じて、所得税額、住民税額が計算されている。つまり、所得税率と住民税率が仮に10%だったとしても、実際にはこれらの税額は所得の10%より小さい。

 なので、「所得税額、住民税額÷給与」が自分の税率だと考えると、実態と異なる。実際の税率はそれより大きいので、iDeCoのメリットもそれなりに大きいと言える。