インドから陸続き、ネパールで感染拡大した理由

 インドは、バングラデシュ、ネパール、ブータン、パキスタン、中国と国境を接し、陸続きの移動ができる。それが今回の「あだ」にもなっている。

 例えば、3月28日・29日に行われたホーリー祭はネパールにも共通する宗教行事で、ネパールからインドに訪れた信者の間で感染を引き起こした。5月7日現在、ネパールの累計感染者数は36万人にまで拡大している。

 「Our World in Data」(オックスフォード大学)のチャートを基に、ネパールの2020年1月27日~2021年5月7日までの1日当たりの新規感染者数(7日間の平均、報道されている数字とは誤差がある)を追ってみると、昨年10月半ばをピークに今年3月15日まで減少傾向が続いていたが、4月17日は561人に増加したのちわずか20日後の5月7日には7773人にまで増えたことがわかる。

 原因は国境管理の緩さにもあった。インドとネパールの間には、長くて開かれた国境が続いている。国境とはいっても出入国にパスポートやIDカードの提示を必要とせず、人の往来がほとんど管理されていない地帯もある。実際、インドの感染拡大を恐れてネパールに逃げ込んだ避難民もいる。

インド感染爆発で中国「一帯一路」計画の頓挫も?陸続きで変異種流入の脅威ネパールの1日当たりの新規感染者数の推移(7日間の平均)引用元:Our World in Data
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