いろいろと対策が打ち出されていますが「ワクチンが不足する中で医療崩壊を回避して日常生活を取り戻す」ということをゴールに設定すれば、実は、わたしたち国民が監視しておくべき重要な施策は二つだけです。

 一つは、“高齢者へのワクチン接種が7月末に終わるかどうか”。もう一つは、“インド変異種の国内への水際対策が実効力をともなっているかどうか”。この二つさえしっかりできていれば、オリンピックが終わった頃の日本の未来は、ずいぶん明るいものになっているはずです。

 まず、「なぜ、高齢者へのワクチン接種が7月末に終わることが重要なのか」からお話ししましょう。

高齢者の接種が7月末に終わることが
何よりも重要な理由

 昨年の夏に第2波が来たのと同じで、この夏に第5波が来ることを政府の新型コロナの分科会では想定しているようです。今来ているのが第4波ですが、たとえこれが5月末までに抑え込めたとしても、夏頃に次の波が来るのは避けられない。ただし、そこで死者や重症患者の数を大きく抑え込めれば、緊急事態宣言を出さずにすむようになる。ここが政府にとっては重要なポイントになるそうです。

 そこでワクチンの話なのですが、今、接種が進んでいるファイザー社のワクチンには「新型コロナの発症を95%抑える」という医学的な効果があるようです。そして、新型コロナの死者の95%は60代以上の高齢者に集中している。とすれば高齢者3800万人全員に接種が済めば、論理的には95%×95%=90%の死者を助けることができる計算です。

 わたしは今58歳なので、このような机上の計算はおおいに不安です。40代、50代だって死者の5%を占めているのですから。しかし自分のことをさておけば、まずは高齢者だけでも接種を完了させることで、重症者を減らし、医療崩壊を防ぎ、新型コロナの被害を1割程度(正確には15%以内)に封じこめることができる。これは社会が日常に戻るためにはとても重要なポイントです。

 では、高齢者がコロナにかからなくなったらどういう良いことがあるのか?

 これは、海外に目を向けるとよくわかります。