OECD加盟国の中でもワクチン接種が進んでいるアメリカとイギリスを例にとって、新型コロナ感染者数のグラフを日本と比べてみました。

ワクチン騒動に株価の急落…えん戦気分の緊急事態宣言で本当に大切な二つのこと出所:WHOデータをもとに筆者作成
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 最新のWHOの公表データから計算すると、日本のワクチン接種回数は人口100万に対してわずか3万回です。これに対して、アメリカはすでに77万回、イギリスは74万回と接種がかなり進んでいます。

 実際には新型コロナのワクチンは2度打たないと効果が出ないので、数字的には接種回数が200万回になって初めて100%の接種率ということになるのですが、それでも両国がかなり先に進んでいるのがわかります。

 そして、重要なのは感染者のグラフの形です。イギリスではあきらかにコロナ封じ込めの効果が出ていますし、アメリカも第4波が発生しないところまで抑えられています。実際は、患者数も死者数も絶対数でみればアメリカ、イギリスの方が日本よりも多いのですが、グラフの形が意味することは感染状況の変化です。状況がワクチンで劇的に変わっていて、それに応じてアメリカやイギリスの社会もまた元に戻ろうとしています。

 実際テレビでも、ニューヨークの飲食店でビールを楽しむ市民の映像が流れ、アメリカ社会は徐々に元に戻ろうとしている。それが株価にダイレクトに反映しています。今年の頭は日経平均が3万円を超え、アメリカのダウ平均も3万ドルを超えました。それが直近で日経平均は2万8000円を割るところまで下がったのに対して、ダウ平均は3万3000ドル台まで上昇しています。

 実は、最近のアメリカではウィズコロナの時期に高騰したハイテク株が売られ、普通の銘柄に投資がシフトし始めています。総じていえば、コロナの危機が去り、社会がまた元に戻る兆しが出始めて、それで企業が投資を再開し、正社員の雇用がまた増加しだし、それらの指標を見ながら株式市場が活況を見せ始めているわけです。