また、5月10日の中央日報には次のタイトルの記事が掲載された。

 日本の国民59%「東京五輪中止を」…46%「菅内閣を支持しない」

 これら2つの記事のうち、ハンギョレの記事は次のような内容を報じている。

■東京オリンピック組織委員会が、日本看護協会に対しオリンピック期間中に看護師500人を派遣してほしいと要望した事実が明らかになり、医療現場の反発が強まっている。医療関係者は、コロナ長期化にワクチン接種で現在も人手が足りず苦痛を訴えている
■日本医療労働組合連合会も「オリンピック開会までコロナ感染が落ち着く見通しなど全くない」「患者と看護師の命や健康を犠牲にしてまでオリンピック開催に固執しなければならないのかと、強い憤りを感じる」との談話を出した。

 なお、ハンギョレは別の記事で「元日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏がオンラインで五輪中止を要求する署名活動を始めたところ、2日で約19万3000人の署名が集まった」「米国のワシントンポスト、サンフランシスコ・クロニカル、ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)もオリンピック開催の再考を促しており、NYTは「大型感染イベント」になる可能性がある」などと指摘している。

 また、もう一方の中央日報の記事タイトルの数字は、日本の読売新聞の世論調査を引用したものである。その中で防疫対策に関する国民の不満は極限に達していると伝えており、菅首相の支持率も低下していると報じている。

 ハンギョレは別の記事で、日本における緊急事態宣言期限の延長と2県の追加を伝え、対象地域を拡大したのは、新型コロナ感染を一定水準まで下げられなければ、間近に迫った東京五輪の開催に暗雲が立ち込めかねないためだと述べている。

 さらに、今回の期限延長は国民の疲労感と経済的影響を考慮し、多少緩い防疫対策を行うことにしており、感染者の減少に疑問が提起されているとのコメントも紹介している。

 菅政権は、オリンピックを成功させ、その成果で選挙戦を有利に戦おうとしているとの見方があるが、これは本末転倒であろう。あくまでも国民の命と安全を図るのが先決であり、次いで経済を疲弊させないことが重要である。千葉県と茨城県の知事は外国選手団を優先治療することを拒否した。このような危機の時にオリンピックを優先して考えることへの疑問をこれらの記事が提起している。