ワークライフ・バランス代表取締役社長 小室淑恵氏ワーク・ライフバランス代表取締役社長・小室淑恵氏 写真:ワーク・ライフバランス

働き方の多様化が求められ、また、新型コロナ対応のためにテレワークへ転換するも上手く対応できずに悩んでいる、という管理職は少なくないだろう。2021年2月10日、ダイヤモンド社・デジタルビジネス局は、エフアンドエム、SmartHR、クレオの協賛を得てWebセミナー「働き方多様化とテレワーク時代の人事労務管理のヒント」を開催した。働き方改革のコンサルティングで多数の実績を持つ、ワークライフ・バランス代表・小室淑恵氏の基調講演をまとめた。(ダイヤモンド・セレクト編集部、ライター 笹田 仁)

「人口ボーナス」と「人口オーナス」

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 企業における働き方の改革に向けたコンサルティングを手掛けるワーク・ライフバランスの代表取締役社長の小室淑恵氏は、自身も1000以上の企業に対してコンサルティングを請け負ってきた実績があり、多くの企業で残業を減らしながら業績を上げている。働き方改革においては日本でも有数の識者である。

 小室氏は「人口ボーナス期、人口オーナス期」の話から講演を始めた。この考え方は米ハーバード大学公衆衛生学部のDavid Bloom教授が1998年に発表したもので、世界では広く知られているが、日本ではほとんど知られていない考え方だという。

 「人口ボーナス期」とは、社会の人口構成のうち、高齢者が少なく、生産年齢比率が高まる、つまり労働力人口が大きく増加する時期を指す。この時期は、若くて安価な労働力を大量に抱えているため、世界中から仕事が集まり、企業は大きな収益を得る。政府の税収も大きくなるが、高齢者の比率がわずかなので、社会福祉に回す資金は少額で済む。その結果、大量の資金がインフラ投資に回り、爆発的な経済発展を遂げたように見える時期だ。