プロダクトマネジメント浸透には
「ABCDEフレームワーク」が有効

 さて、無事に導入が決まった後、組織にプロダクトマネジメントを浸透させるにはどうすればよいのでしょうか。私たちが書籍『プロダクトマネジメントのすべて』などでお勧めしている方法は、「プロダクトマネジメントのABCDEフレームワーク」を利用することです。

 プロダクトマネジメントのABCDEフレームワークは、以下の要素で構成されます。

あなたの会社はDXで成功できる?「組織のプロダクトマネジメント度」チェックリスト

【A:Awareness(認知)】
 プロダクトマネジメントとはどういうものか、プロダクト志向の必要性を組織の意思決定層に認知してもらう。

【B:Belief(信念)】
 小さな単位でプロダクトマネジメントを導入。一気通貫で試すことにより、プロダクトマネジメントの必要性を理解してもらい、推進している人が信用を得ることで、意思決定層の投資決断を促す。

【C:Commitment(コミットメント)】
 意思決定層がプロダクトチームにコミットし、必要な人材をアサインする。

【D:Diffusion(拡散)】
 プロダクトマネジメントの適用範囲を別の部門へ横展開したり、人員を増強することで、組織全体に拡散、伝播させていく。

【E:Embeddedness(組み込み・浸透)】
 プロダクトマネジメントを組織に組み込み、組織の隅々に重要性を理解してもらう。

 プロダクトマネジメントだけでなく、DXを組織に取り入れる場合にも同じようなことが言えるのですが、以前連載で紹介した「出島戦略」などは、このフレームワークのAからCにかけての部分を抜き出したものです。

 出島とは江戸時代、海外との貿易窓口として新しい技術や文化を取り入れるのに役立った、あの長崎の出島のこと。組織で新規事業など新しい体制を取り入れるにあたって、従来の組織とはある程度離れた“場”を設け、別の企業文化を実現しながら従来組織とも交流を図るというのが、出島戦略です。

 そしてある程度、出島の有用性が組織内で理解されるようになったら、C・D・Eと横展開し、新しい文化を拡散・浸透していくというやり方が、プロダクトマネジメントの浸透においても有効なのではないかと思います。