ビットコインの仕組みと
ブロックチェーンの重要性

 ビットコインの成り立ちを理解するためには、その取引を支える「ブロックチェーン」を理解することが大切だ。分散型のネットワークシステムであるブロックチェーンは、最初から最新まで、個々の取引データ(ブロック)を管理し、それを鎖(チェーン)で連結するようにして保存する。取引参加者は自分の端末にブロックチェーンのアプリケーションをダウンロードし、同期する。それが、ブロックチェーンを「分散型元帳」などと呼ぶゆえんだ。

 ビットコインを手に入れたい人は、ブロックチェーン上で一種の数学の課題を解く。一番早く正解した人はコインを獲得する。他の参加者は解き方の正しさを相互に確認、承認する。その結果、新しい取引データが加わり、ブロックチェーンが延伸する。つまり、ビットコインの実体はブロックチェーンが保存する取引データだ。改ざんを試みる者はすべてのブロックを書き換えなければならない。その間も正規の手順でビットコインの取引が進み、改ざんは困難だ。

 2009年に初めてビットコインの交換が行われたとき、その価値はほぼゼロだった。その後、ビットコインの価格は徐々に上昇し、価格が急上昇する場面も複数回発生した。21年4月には1ビットコインの価格が700万円を超えた。価格の大幅な上昇は、人々の利得確保を目指す心理の高まりに影響された部分が大きいと考えられる。

 それよりも、本質的に重要なことはブロックチェーンの有用性だ。特定の監督者を置かず、参加者の相互承認によって、ブロックチェーンは改ざん困難なシステムを自律的に運営する。そのメリットを生かすために、エストニア政府はブロックチェーン技術を用いて行政のデジタル化を進めている。省人化など事業運営の効率性を高めるためにブロックチェーン技術を用いる企業も増えている。