中国人民銀行(中央銀行)は人民元の上昇に浮き足立っている。これは注視しておくべきことだ。さらなる上昇を抑えようとする試みはいかなるものであれ、為替操作を巡る米中の対立を一段とあおることになる。人民元は1ドル=6.38元近辺と、2018年以来の高水準にある。ここからわずか5%強上昇するだけで、元は過去最高値に達する。過去1年では12%近く上昇している。人民銀は5月31日、市中銀行の外貨預金準備率を引き上げると発表。これに先立ち、人民銀の元当局者は週末、このところの元高は持続不可能で、望ましくないと国営メディアに示唆した。人民銀が元高に明らかな不快感を示していることを踏まえれば、中国の外貨準備高がここ1年にほとんど増加していないという事実は、不審に思える。2000年代と2010年代初め、中国の大幅な貿易黒字は外貨準備高の急増を伴っていた。
人民元高に不満な中国、米中為替摩擦に拍車も
中国の外貨準備高は急増せず、国際収支に見える人民銀の姿勢
有料会員限定
あなたにおすすめ